真空保存した食品はいつまでに食べればいい? おいしく安全にパックするコツ

真空保存した食品はいつまでに食べればいい? おいしく安全にパックするコツ

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真空状態にすることで、食材の保存期間を延ばすことができる真空保存。真空パック機を活用している家庭も増えているようです。この記事では、食品の真空パックはどのくらいの期間保存可能か、また、美味しく安全に保存するためのポイントなどについてもご紹介します。

真空パックはなぜ長期保存に向くの? 

真空保存 真空保存
「真空」とは、保存袋や容器から空気を抜いて密閉することを指します。食品が劣化する主な原因は酸化、乾燥、細菌の繁殖の3つ。食品が空気に触れると酸化が進み、食品が乾燥すると食感や風味が損なわれます。また、細菌が繁殖すると食品は腐敗します。真空パックで食品を保存するとそれらを防ぐことができ、長期保存が可能になります。

また、長期保存のために食品を冷凍庫で保存する人は多いかもしれませんが、直接冷気に触れると食品は乾燥し、冷凍焼けを起こしやすくなります。空気に触れない真空パックは冷凍焼けも防ぎ、食材や食品の鮮度や美味しさを保つことができます。

真空保存した食品はいつまでに食べればいい?

保存する食品によっても異なりますが、冷蔵で通常の約1.5倍、冷凍の場合は約2〜5倍ほど保存期間を延ばすことができます。ただし、家庭用の真空パックは業務用に比べて完全に無菌状態にするのが難しいため、保存期間が短めになります。家庭での保存期間は以下を参考にしてください。
食品 保存状態 保存期間(通常) 保存期間(真空)
冷蔵 3日 5日
冷凍 4か月 1年
冷蔵 3日 5日
冷凍 6か月 2年
野菜 冷蔵 1週間 2〜3週間
乾燥肉・乾燥魚 常温 6か月 1〜2年
豆類・ナッツ類 常温 6か月 2年
煮込み料理・スープ・ソース 冷蔵 3日 1週間
真空保存が可能な食材はたくさんありますが、中にはあまり向かない食材もあります。特に、じゃがいもや大根、こんにゃくなどの水分が多い食材や、キャベツやタケノコなどの繊維質が多い食材、油分の多い食材などは、長期間の真空保存にあまり向いていません。

また、春巻きやシュウマイなど、真空にすると潰れてしまう立体的で柔らかい食品も避けたほうがよさそうです。真空パックを利用しながら、食材や加工品毎に合った保存方法で美味しく保存しましょう。

おいしく、安全に真空保存するコツは?

ここからは、ご家庭で安全で美味しく食べるための真空保存のコツをご紹介します。

1.専用の袋を使う

家庭用の真空パックで食品の保存期間を延ばしたいのであれば、専用の袋を使うことをおすすめします。中には専用袋不要タイプの真空パック機もありますが、市販のポリ袋では効率良く脱気するのが難しいでしょう。薄くて空気がもれやすかったり、袋の奥に空気が残ったまま封をしてしまったりと衛生面も心配です。

2.下処理のうえ、水分を拭き取って入れる

魚などの臭みがある食材を真空保存する際には、保存前の一手間が重要です。まずは、新鮮なうちに内臓を取り除き、キッチンペーパーで表面の水分をしっかりと拭き取りましょう。こうすることで雑菌が繁殖しにくく、美味しい状態のまま保存することができます。

3.パックが膨らんでいないかを確認

食べる前には、真空パックが膨らんでいないか、また、パックに傷がついていないかを確認しましょう。食中毒を引き起こすボツリヌス菌は、酸素が少ない場所を好む傾向があります。菌が繁殖して発酵や腐敗が進んでしまうと、パックや缶詰が膨らむことがあるので注意が必要です。賞味期限内であっても、容器が膨らんでいるものは食べないようにしてください。

ボツリヌス菌は80℃で30分間(100℃なら数分以上)加熱すると活動が抑制されるので、食べる前に食品をしっかりと加熱するとより安全です。

4.冷凍保存すればより安心

冷凍保存には、温度を低く保つことで菌の繁殖を抑えられるというメリットがあります。また、真空にすると食品の酸化を防げ、冷凍焼けも起こりにくくなります。食材を長い期間、安全に保存するためにもぜひ冷凍を活用しましょう。

真空した肉や魚を解凍する際、電子レンジを使うとドリップが出やすく、味が落ちる原因になります。品質を保つためにも、流水解凍や冷蔵庫解凍がおすすめです。また、煮魚はパックに入れたまま湯煎で解凍しましょう。水分を保ったまま温められ、身が崩れにくいのもポイントです。

真空保存の豆知識

ここからは、知っておくと便利な真空保存の豆知識をご紹介します。

1.実は真空パックは家庭にあるものでもできる

専用の真空パック機を使えばとても楽ですが、どの家庭にもあるとは限りません。実は、家庭にあるものを使って真空パックにすることが可能です。用意するのは、ジップロックなどのビニール袋と鍋、水、保存したい食材のみ。

方法は簡単で、鍋に水をたっぷりと入れ、保存したい食材を入れた袋を水の中にゆっくりと沈めていきます。そのとき、袋の中に水が入らないように気をつけましょう。袋の中の空気が外へと押し出され、真空状態を作ることができます。

2.災害用の備蓄品を真空保存すると便利

災害 備蓄品
災害用の備蓄品も、真空保存することで保存期間を延ばすことが可能です。お米は常温で1年ほど持つので、真空状態で災害用品のリュックに入れておくと役立ちます。また、水や電気を思うように使えない災害時には、ポリ袋を使ってお米を炊ける裏ワザもあるのでぜひ試してみてください。

作り方は、ポリ袋に生米と水を1:1の割合で入れ、袋の空気をなるべく抜いて口を閉じます。鍋にたっぷりと湯を沸かし、沸騰したら弱火に。ポリ袋の口が外に出るようにして湯の中に入れ弱火で30分、その後鍋から取り出し、タオルに包んで10分蒸せば完成です。お湯も汚さず、食器を使わずに袋からそのまま食べられるのもポイントです。

普段食べ慣れているものをローリングストックとして活用しておけば、非常時にも安心して食事ができるでしょう。また、非常時の持ち出しタオルなどを真空パックすると、コンパクトに持ち運べるのでおすすめです。

3.接着剤を真空保存すると長持ちする

食品ではありませんが、接着剤や補修剤は一度開封するとフタをしめても空気中の水分に触れやすく、固くなって使えなくなる場合があります。そのため、なるべく空気に触れないよう、真空保存するのがおすすめです。

真空保存のメリット

最後に、真空保存のメリットをご紹介します。

1.フードロス(食品ロス)を減らせる

災害 備蓄品
真空パックを活用すれば、フードロスを減らせる点もメリットです。精肉などの足の早い食材も良い状態で長期保存が可能となり、品質の劣化による廃棄ロスを削減できます。家庭ではもちろん、食品加工場などでも加工品や惣菜の賞味期限が延び、フードロスのほかコストも抑えられるでしょう。

2.冷蔵庫がすっきりして、収納力アップ

真空保存することで、冷蔵庫で保存する食材の容量を減らすことができます。真空パックは瓶やタッパーを使うのに比べ、余計なスペースを取りません。特に、スープのような液体は庫内で保存する際、液体がもれてしまう可能性もあります。真空パック保存すればもれの心配がなく、縦置きしたり積み重ねたりなどスペースに合わせて収納できるのも魅力です。

冷蔵庫内もすっきりとし、収納力もアップするでしょう。庫内が整理されていれば扉の開閉時間も短くなり、電気代の節約にもなります。また、庫内が見やすくなるので、冷蔵庫のフードロス削減にも繋がります。

3.味が染み込みやすくなる

真空パックを利用すると、食材に味が染み込みやすいというメリットがあります。空気がない真空状態では、浸透圧効果により食材の中にまで煮汁がしっかりと染み込むのです。このメリットをうまく活用すれば、手軽に煮物などを作ることができます。例えば、魚の煮物は食材と調味料をパックに入れて真空状態にし、そのままお湯で茹でるだけ。料理の時短にもなります。

4.鮮度を守った状態で、遠い地域にも食品が届けられる

真空にすることで食材の保存期間が延びるので、遠く離れた家族に真空保存した食べ物を宅配便で送ることも可能です。作りたての美味しさを保ったまま届けられるのはうれしいですね。また、食品メーカーでは、広い範囲に商品を流通させることができるので、地元でしか食べられなかったグルメを新鮮なまま届けられるのもメリットです。

ただし、真空パックとはいえ、賞味期限を過信しすぎず早めに食べることが大切です。便利な真空パックをうまく活用して、食卓を豊かにしましょう。
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